はじめに
民泊業界は2023年~2024年にかけて急速に成長しており、その収益性に多くの法人、投資家がこの分野に興味を持っています。特に民泊M&Aの価格は、今後のホテル、旅館用地の価格に重大な影響を与えることになるでしょう。本記事では、民泊M&Aを初めて検討する人向けに、民泊M&Aの価格査定について詳しく説明します。
1. 調査内容
民泊事業の価格査定は、①物件評価 ②エリア評価 ③類似物件の収益性 などから、現在価値はもちろん、潜在的なリスクや将来性を推測し、個人間、法人間でM&Aするにあたって、その価格が高いのか安いのか判断するための適正価格を算出します。
法的状況の確認
物件が法的に問題ないかを確認することは重要です。例えば、以下の点を確認します:
- 建築基準法や旅館業法に違反していないか
- 必要な許可や認可が取得されているか
- 現行の法令に適合しているか
民泊運営が合法的に行われるための基本的な要件です。法的に問題がある物件は後々トラブルになる可能性が高いため、慎重に確認する必要があります。
収益性の確認
物件の収益性を把握するため、以下のデータを収集・分析します:
- 収支報告書
- OTAおよびサイトコントローラーの統計情報
- プライシングツールでの将来予測および民泊マーケットにおける物件評価
これらのデータを通じて、物件が今後どの程度の収益を上げるのか、どういったリスクを抱えているのかを明確にします。状況を正確に把握することで、リスクを最小限に抑えることができます。
物理的状況の確認
物件の物理的な状態を評価し、必要な修繕や改修の有無を確認します:
- 建物の老朽化状況
- 設備のメンテナンス履歴
- 将来的な修繕計画
物件の物理的な状態が良好であることは、投資価値を維持するために重要です。定期的なメンテナンスが行われているか、修繕が必要な箇所がないかを確認することで、購入後の予期せぬ出費を避けることができます。
市場環境の分析
物件が所在する地域の市場環境を分析し、競争状況や需要動向を把握します:
- 同地域の類似物件の価格や稼働率
- 地域の観光需要や季節変動
- 新規申請の状況や廃業情報の調査
市場環境を分析することで、物件が将来的にどの程度の収益を上げる可能性があるかを予測できます。地域の観光需要や競争状況を理解することで、物件の収益性を評価するための重要な情報を得ることができます。
2. 評価レポート
評価レポートは、調査結果をもとに民泊事業の現在価値を見積り、買主の投資判断の根拠を提示します。民泊M&Aアシストでは、買主および売主が評価レポートをもとに、価格について交渉できる環境をそろえることで、民泊M&Aの事業価値、収益性を安定させることを目指しております。こうした評価レポートを提供することによって、虚偽申告での不当な高額売買を防止し、買主は安心して事業買収をすることが可能になります。
主な評価項目
<客室情報>
Number of rooms 客室数
Capacity 最大収容人数
Double Occupancy Rate 同伴係数
Average length of stay 平均宿泊日数
Market Penetration Index マーケット浸透度指数
Market occupancy rate 市場稼働率
Class クラス
Location type 地域タイプ
station 駅
walk from station 駅徒歩
Number of passengers 乗降人数
Area population エリア人口
<収益性評価>
OCC 客室稼働率
ADR 客室平均単価
RevPAR 客室稼働率(OCC)×客室平均単価(ADR)
平日RevPAR
休日RevPAR
Monthly max 最大月売上
Monthly min 最小月売上
Average monthly sales 平均月売上
Monthly rental sales マンスリー貸し月売上
Miscellaneous revenue 雑収入
Month Rent amount 月額家賃
Management fee 管理費
Cleaning fee 清掃費
Total Revenue Per Available Room (TrevPAR) 販売可能室一室あたり総売上高
Total revenue 総売上高
Net gain 年間純利益
Future total revenue range 将来的な総売上高の範囲
Future net gain range 将来的な年間純利益の範囲
<販売情報>
Selling price 販売価格
Standard selling price range 標準販売価格範囲
Goodwill period 営業権期間
Investment yield 投資利回り
Period gross profit 契約期間総利益
Total profit per year 1年あたりの総利益
<評価>
AirDNA score AirDNA 評価点
Airbnb score Airbnb 予想ホスティング月収入
Airbnb review Airbnb レビュー
Price labs score Price labs 予想RevPAR
<運営情報・許可>
Owner 所有者
Management company 運営会社
permission 許可
3. 購入時のポイント
評価レポートをもとに価格査定が完了した後、実際に購入を検討する際には、以下のポイントを抑え、購入後の事業計画や物件の将来的な価値を予測することが重要です。これらのポイントを把握することで、事業成功率を高めることができます。
資金計画の立案
事業の購入には多額の資金が必要です。資金計画を立て、自己資金と借入金のバランスを考慮します:
- 自己資金の割合
- 融資の可否と条件(利率、返済期間)
- 資金調達先
資金計画を立てることで、無理のない資金調達が可能になります。自己資金と借入金のバランスを考慮し、最適な資金調達方法を選択することが重要です。
購入後の運営と再投資
事業購入後には運営体制の見直しやインテリア、リフォームなどの再投資を検討する必要があります。これら要素の再検討することで、評価レポートで算出された予測以上の価値が生まれる可能性があります。
- 運営体制の見直し: 代行会社の利用、清掃リネン業者の変更、プライシングの見直し
- 事業への再投資: リスティング広告の見直し、室内設備の見直し
初めて民泊を開始する方については専門家のサポートを受けることで、安定的に収益性を最大限にすることができます。民泊M&Aアシストでは、専門知識を持つプロフェッショナルなチームを買主に提供することでスムーズな取引が可能になります。
契約条件の確認
購入契約を締結する際には、契約条件を詳細に確認することが重要です:
- 引き渡し条件: 物件の状態や引き渡し時期
- 支払い条件: 支払い方法やスケジュール
- 保険の加入: 民泊保険の加入状況の確認
契約条件を詳細に確認することで、購入後のトラブルを防ぐことができます。引き渡し条件や支払い条件を事前に確認し、納得した上で契約を締結することが重要です。
まとめ
民泊M&Aの価格査定は、調査内容、評価レポート、購入時のポイントを適切に把握することが重要です。初めてM&Aを検討する方にとって、各ステップを丁寧に進めることが成功への鍵となります。民泊M&Aでは買主が専門家のサポートを受けながら、リスクを最小限に抑え、適正な価格での取引を行えるように努めてまいります。この記事が、民泊M&Aの価格査定を理解し、実践する際の参考になれば幸いです。